まるものお茶辞典

お茶が出来るまで  -製造 その1-

お茶が出来るまで  -荒茶製造について-

 

 

・緑茶造りは速やかに

茶農家で栽培されたお茶の 「生葉(なまは)」 は、「荒茶工場(あらちゃこうじょう)」 に運び込まれ、

「荒茶(あらちゃ)」と呼ばれる中間商品に加工されます。

この間、摘み採りから完成まで最大で24時間以内ほど。

時間が経つと茶葉が発酵してしまうので、蒸し製緑茶である日本茶造りは時間との戦いです。

荒茶製造の技師のことを、 「茶師(ちゃし)」 と呼びます。

 

 

 

 

・お茶造り は茶温 と しとり

蒸し製の緑茶造りの工程を簡単に説明すると

「蒸す」 → 「乾かす」 これだけです。

 

しかしながら。どんなお茶もそうですが、瞬間旬間の味や香りを保存する為に生み出された技術がお茶造り。

単純に乾かすと言ってもその最中はシビアな条件があります。

常にお茶の温度は人肌、34-36度を保ちます。

また、お茶の表面が乾かないように、それでいてグシャグシャにならないように保ちます。

製茶業界ではこれらを 「茶温(ちゃおん)」 と 「しとり」 と呼びます。

かつてお茶の葉の水分を出すのに人の手で圧を加えていたので、お茶造りのことを今も

「お茶揉み(おちゃもみ)」 と言うのです。

手揉みの様子

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・茶心で揉む

茶温としとり、この二つを保つことでお茶は積んだ瞬間の成分を維持したまま乾燥されます。

初夏の香りや木の地味を楽しめるのはもちろん、お茶に様々な機能性があるのは成分変化を極力減らす

非常に高度な乾燥技術が確立されているからです。

 

機械製造が主流になっても茶師達は自らの手や鼻、目、耳や舌でお茶を確かめ続けます。

全ての機械には人の手で過程を確かめるサンプル窓がついています。

茶温としとり、この二つを保って製茶するために全力で五感を働かせることを

「茶心を持って揉む」 と言います。

五感で確かめる