お茶の鮮度と熟成について
・お茶の変化と防止策
お茶の香味を変化させる三大要素、それが温度、酸素、日光です。
基本的には、これらを避けるべく保存する事でお茶の香味は変化しにくくなります。
お茶屋においては、お茶は真空梱包された状態で冷蔵庫もしくは冷凍庫にて保存することで
鮮度の維持をしています。
・後熟とは
しかしながら、お茶も農産物ですので少しずつ少しずつ変化しています。
時間とともに新茶の香りは薄まり角のとれた甘味を持ちます。
このような熟成を「後熟(こうじゅく)」と言います。
例えば、玉露や碾茶の香りは秋口の方が強くなりますし、
煎茶の渋みは少なくなります。
この変化は専門書によると酸化ではないらしいのですが、
個人的な見識では茶葉内部の水分が関与しているのは間違いなく、
水分と各種酵素、アミノ酸、糖質の結合ではないかと考えています。
・まるも の後熟茶・ごらいこう凍熟 からの学び
まるも の商品の中で後熟を活用したものの一つに、
「山室農茶・ごらいこう凍熟」というものがあります。
これは、「山室農茶・ごらいこう」を富士山の山小屋で冬季に熟成させたお茶です。
この処理を行うことで、ごらいこう は特有の甘味と香りを引き出されたお茶になります。
「ごらいこう凍熟」を造るに当たり、富士山の山小屋で何年も熟成されたお茶を何度も飲み、
様々なパターンで試験した結果から思うのは、
・後熟は確かに存在すること
・水分が多いお茶は変化が激しい →酸化による劣化が生じていること
・やぶきた種以外のお茶の方が変化が激しい → 酸化酵素の含有量が関係しているかもしれないこと
といった事実です。
今だ判明していない分野ではありますがお茶の熟成は確かにあります。
まるも では今後も富士山と相談しながらより美味しい後熟茶を目指します。
参考文献
「茶大百科Ⅰ」 農文協 2008