『日本茶』 とは その2
日本茶は‘だいたい’「蒸し製緑茶」と、その1でお伝えしました。
次に、栽培方法での違いを説明します。
主眼は「被覆栽培(ひふくさいばい)」をするかどうか。
被覆栽培とは、新芽の時期にお茶の木を遮光資材で覆い日光を遮る栽培方法です。
古くはワラやコモ、現在では遮光ネットが使われます。
この栽培により出来るのが「玉露園(ぎょくろえん)」
そう、玉露の原料が採れる茶園です。
こちらが一般的な茶園。
玉露園と比較する場合には露地、とか露地茶園とも言います。
1 玉露(ぎょくろ):玉露園で採れた茶葉でできた蒸し製緑茶。
昔は宇治でしか造る許可が下りなかった日本茶の王様
主な産地:宇治、八女、岡部
2 冠茶(かぶせちゃ):玉露までいかない日数遮光した原料でできた蒸し製緑茶。
煎茶と玉露の中間、良いとこ取りのニューフェイス
主な産地:三重、鹿児島、静岡、宮崎、八女
3 煎茶(せんちゃ):被覆をしない露地栽培茶園でとれた葉を原料にした蒸し製緑茶。
旨味、甘味、渋味のバランスの取れた伝統の味。蒸す時間が長いお茶を「深蒸し茶」と呼ぶこともある
主な産地:日本茶産地全域
上記の3つは蒸し→揉み の工程で紡錘状に成形します。
見た目はほとんど同じですが、味と香りが少しずつ違います。
それに加え
4 碾茶(てんちゃ):玉露園の茶葉を原料に、蒸してそのまま乾燥させただけのお茶。抹茶の原料
主な産地:西尾、宇治、八女
碾茶を原料にした加工品が抹茶です。
5 抹茶(まっちゃ):碾茶から茎などを取り除き石臼で挽いたお茶。喫茶文化の極みで輝く日本茶界の上皇
主な産地:西尾、宇治、八女
また、3 煎茶 からの派生で、
6 玉緑茶(たまりょくちゃ):勾玉状に成形する香気に溢れた蒸し製緑茶 別名、グリ茶
主な産地:嬉野、熊本
もあります。
玉緑茶のような勾玉状のお茶に対し、煎茶や冠茶などの紡錘状のお茶の事を
「伸び」と言うこともあります。
少し細かくなりましたが、
『玉露と抹茶、かぶせ茶の原料は被覆したお茶の葉』
『煎茶は露地栽培のお茶の葉』
と覚えて下さい。
参考文献
「茶大百科Ⅰ」 農文協 2008
「茶大百科Ⅱ」 農文協 2008
「茶の科学用語辞典」 日本茶業技術協会 2006