11月5日
前世紀の遺産を復活させる企画です。
今回のモノはこれ!
棚式乾燥機 です。
いや、これ駆動部ないんで、乾燥「器」 かな・・?
お茶屋の世界では、俗に「棚乾」(たなかん) と呼ばれてます。
棚乾 は、簡単に言うとタンスの下部に熱源があって
そこからの熱でお茶を加熱する道具です。
主に、仕上げの「火入れ」 に使います。
こんな棚がついてます ↓
和紙張りです。
現代では金属の網が主流。
また現代のモノは熱源もガスで自動温度調整とかついてますが
これは前世紀の遺産らしく、熱源は火鉢か七輪・・・マニュアル操作です。
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で、何故こんな年代物を復活させるのか。
一つは、由緒あるモノを残したかったから。
この道具は、今年の春に清水のとある方から譲り受けました。
手揉製茶技術の達人の方ですが加齢でお茶造りを辞めざるを得ない
とのことで、使えそうな道具を頂いてきました。
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その方が製茶の仕上げに使っていた、この棚乾。
戦前にどなたかから頂いたもので、いつからあるのかも判らない歴代の品です。
補強の紙すら年代物・・・
すさまじい古道具です。
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熱源は火鉢、上部の穴と棚の引き出しだけの温度調整は匠の技。
棚乾それ自体も、扱う技術も、お茶王国静岡の遺産だと思って
残したい! 受け継ぎたい! と思って譲って頂きました。
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もう一つは、自分の技術向上。
今の機械は扱うのが楽ですが、これはそうはいかない。
「火入れ」はお茶造りで一番難しい作業なので
その腕を磨くのにはうってつけの壁だと思って譲って頂きました。
苦労しないと人は成長しない! が信条です。
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そんな棚乾・・・原理が同じだから「ほいろ棚」とでも呼びます。
手揉みの焙炉(ほいろ)も下部に熱源、上部にお茶を揉む助炭(じょたん)
となっています。
お茶の乗ってるのが助炭。
この助炭に当るのが和紙張りの棚です。
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そんな「ほいろ棚」ですが、もう数年使っていないので
見た目にはただの古ぼけた木のタンス・・・
復活の為に、まずは清掃から。
エアコンプレッサーと雑巾で埃を落して、
木の継ぎ目に張ってある古紙を剥がします。
こんなかんじ?
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次に、長い年月でついた傷や虫食いの穴を
との粉で埋めます。
乾いたら、布巾でとの粉を払って凹凸を平らに。
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との粉が棚に馴染んだら、柿渋で塗装。
防虫、防腐等の効果があるので
昔からお茶の道具には柿渋が使われてます。
三回塗りました。
匂いがすごいです・・・酸っぱいような匂い!
ひとまずこれで乾燥させます。
日が暮れたので、棚の作業は後日。
第2段に続きます!