カフェインについて
・人類とは付き合いの長い成分・カフェイン
コーヒー、ココア、緑茶。
世界三大飲料として古くから人類と共にあったこれらの飲み物の共通点は、
「カフェイン」という成分を含む事です。
他にもコーラ、ガラナ、マテといった飲料にも含まれ、遠く昔から人類に必要とされてきた成分です。
カフェインとはアルカロイドの一種で、縁類物質にテオブロミン、テオフィリンといった成分があります。
これらの成分もお茶やコーヒーやカカオ等に含まれます。作用はカフェインと同じです。
お茶はコーヒーやココアに比べてカフェインの含有量そのものは一番多いのですがカテキンと結合して
いる為、その効果はゆっくりと持続します。
ガツンとカフェインを取る場合にはコーヒーがお勧めです。
・カフェインはどのお茶に多い?
カフェインは被覆をした玉露や抹茶に多く含まれます。
一番茶、二番茶と時期が進む事で変化はあまりありませんが、秋を過ぎると減ります。
また新芽ほど多く含まれ葉が成熟すると減っていきます。茎も少ない部位です。
以上から、カフェインは 「高品質なお茶ほど多く含まれる」 と考えて差し支えありません。
まるも においては「手摘み冠茶・松」が一番多いお茶です。
一方で秋茶や番茶、大寒茶、などはカフェインが少ないお茶です。
また茎茶もカフェインの少ないお茶の一つです。高温で焙煎する事で昇華するので焙じ茶も
カフェインが少ないお茶です。
まるも の「焙じ茶・丸火」は、茎を焙煎しているのでカフェインが最も少ない商品の一つです。
・カフェインの効果
世界各地で昔から人類に求められたカフェインの効果は様々です。
人の歴史と共に歩んだ折り紙付きの機能性を紹介します。
・覚醒作用
カフェインは人の脳内の中枢神経を刺激します。これにより眠気を覚ましたり、気分を爽快にさせる効果があります。
この効果は筋肉系にも作用し、収縮を助け運動能力を高めたり代謝を上げたりもします。
太古の昔、人に求められたのはまさにこの作用です。
・利尿作用
カフェインは腎臓の血管の収縮に作用する事で利尿を促します。
尿の排出により体内の老廃物を排除が進むので高血圧やむくみの症状を緩和します。
またカテキンにより結合した酸化酵素や菌類などの悪性物質を体外に排出するように促すので相乗効果が見込めます。
・その他の効果
類似含有成分のテオフィリンにも心臓の血管を拡張するため強心の効果があったり、胃腸の活動を促進したり
気管支に作用するので喘息の予備薬に使われます。
・カフェインの副作用について考える
様々な効果がある一方で、カフェインの害についても議論される事が多くあります。
特にカフェインの覚醒作用は麻薬的なものではないのか? とはよく言われます。
カフェインの覚醒作用には軽い習慣性があり、欠乏後24時間ほどで禁断症状が起こります。
大量摂取時には偏頭痛や不安、イライラなどの症状が出る場合があります。
しかしこれは麻薬やたばこ、酒に比べるとはるかに弱く肉体的苦痛も伴いません。
また、カフェイン依存からの脱却は2~3日のカフェイン絶ちで完了します。
麻薬と言う程には危険性は低いのかと考えます(理由は後述)
・カフェイン中毒の経験者の視点から
これは体験談ですが、かつて自身がカフェイン中毒者だった時期があります。
(今もそうかもしれません。しかし、この時は本当に凄かった・・・)
五年ほど前、火入れ機を新規導入して動作試験をしている時に一日100杯ほどのお茶を
2週間くらい飲み続けていた事があります。
試験開始から1週間後くらいから、夜中寝つけず、不安や落ち着きのなさに悩まされ、
「とうとう俺も精神病にかかったのか・・・」 と病院通いを考え始めました。
そんな時に大学時代の友人から連絡があり、伊豆の温泉に1泊2日で旅行に行きました。
久々のオフ、楽しい旅行、車で伊豆半島を回って、温泉に入って、語らい、酒を飲み・・・。
お茶を飲まない生活をして帰って来た時には症状は嘘のように完治していて
友人の指摘でようやくカフェインの大量摂取によるものだと自覚したのです。
それ以来、テイスティングの際にもったいなくても飲み込まないように心掛けるようになりました。
すると案の定症状は改善されていきました。
当時の摂取量はお茶1杯に30mg入っていたとして、一日3g。
致死量が10gと言われているのでその30%を毎日取っていたとしたら知らずに死にかけていた危険行為でした。
(実際には一回3口程なので、30杯分くらいしか飲みこんでいません。多分。)
この経験から、あんまり大量にお茶を飲むのはお勧めしません。
しかし、自分以外に毎日100杯以上飲む大馬鹿が世界にそんなにいるとも思えません。
ブレンダーは基本飲みこまないですし、どんなお茶狂いでも100杯飲むのを毎日やる方には
今のところお会いしていません。
カフェイン中毒はそれでも3日あれば収まるし、お茶のカフェインで死ぬのは中々困難でした。
・気をつけるべき人、その人たちの為に、 まるも が出来る事
例えば、妊婦さんや乳幼児、胃を悪くされた方などにとって、カフェインの効果は過度な
場合があるのではないかと思います。
子供のキャパシティは大人より少ないですし、妊婦さんの場合は代謝が落ちてる上に胎盤で
子供と繋がっています。
また、カフェインは胃への刺激が強いので消化器系の疾患を抱える方にはカフェインレスの
お茶が無難ではないかと思います。
まるも はそんな方の為に、またそんな方の隣にいる方が一緒に飲めるお茶を求めて
「焙じ茶・丸火」を開発しました。
カフェインの少ない茎を選び、下火、本火、焙煎と時間をかけて火を通す事でカフェインの昇華を
促したお茶です。このお茶は元々、小さな乳児のいる友達が子供と妻と一緒に飲めるお茶がないかと
相談してくれた事で生まれたお茶です。
また、秋以降のカフェイン含有量の少ない葉を原料にした煮出し番茶・「大寒茶」など
低カフェインの優しいお茶を今後ラインナップに増やす事で対応していきます。
お茶の成分の中で、カフェインは人によって良い悪いが変わってしまう成分である以上、
高濃度のお茶、低濃度のお茶、それぞれを選べるように職人技術で造り分けて行きます。
この他、様々なお茶の機能性を静岡県が調べまとめた冊子が県HPにあります。
より専門的な見識を身につけたい方におすすめです
静岡県経済産業部茶業農産課HPはコチラ ↓
http://www.pref.shizuoka.jp/sangyou/sa-340/ryokucha_kenkou.html
参考文献
「茶大百科Ⅰ」 農文協 2008